發浪華港【2009.10】(浪華の港を発す)
發浪華港
千丈層樓聳暮天
市燈漸點映漪漣
巨艘徐發浪華港
萬頃滄溟在眼前
2009年10月
押韻
天・漣・前:下平声一先韻
訓読
層樓:幾階にも重なった高い建物
市燈:街のあかり
漸:だんだん,次第に
點:ともる
漪漣:さざなみ
巨艘:大きな船
浪華:大阪
萬頃:「頃」は面積の単位。実際の広さは時代により異なるが,唐代では580アール程度。「萬頃」で非常に広いことを示す
滄溟:大きな海,海原
注
浪華の港を發す
千丈の層樓 暮天に聳え
市燈 漸(やうや)く點じて 漪漣に映ず
巨艘 徐(おもむ)ろに發す 浪華の港
萬頃の滄溟 眼前に在り
訳
大阪の港を出発する
千丈もの高層ビルが暮れていく空にそびえ
街のあかりが次第にともって港のさざなみに映る
巨大な客船がゆっくりと大阪の港を出発し
広々とした海原が,いま目の前に広がっている
補足
昨年9月末から10月初めまで,年に一度の1週間の休みを使い,九州へ旅行に行きました。九州との往復はフェリーを利用することにし,大阪南港を夕方に出発するフェリーで門司へと向かいました。フェリーの旅は初めてということもあり,港を出発してからしばらくは甲板に出て景色を眺めていました。そのときの情景を詠んだ詩です。
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