發麑城赴屋久島舟中 其四

遠去麑城千里遐
水天接處湧蒼波
夕陽忽地穿雲見
偏照洋中一翠螺

2009年10月作

押韻

遐・波・螺:下平声五歌韻 起句の「遐」は下平声六麻韻からの借韻

訓読

麑城を発して屋久島に赴く舟中 其の四

遠く麑城を去って千里 遐(はる)かなり
水天 接する処 蒼波 湧く
夕陽 忽地として 雲を穿ちて見(あらは)れ
偏へに照らす 洋中の一翠螺

忽地:たちまち、突然
穿:うがつ。穴をあける。突き抜ける。
翠螺:螺は巻貝。緑色の巻貝、転じて美しい山・島のたとえ

鹿児島を出発して屋久島に向かう船の中の作 その四

鹿児島から遠ざかること千里のかなた
海と空が接するあたりからは青い波が湧いている
ずっと曇り空だったが、突然、夕日が雲を突き破ってあらわれ
大海原の中の一つの美しい島(屋久島)をことさらに照らし出した