船向鎮西 其一

萬里潮風送単舸
一輪海月照千湾
枕頭今聴讃岐浪
夢裏已看筑紫山

2009年10月

押韻

湾・山:上平声十五刪韻。対句のため起句は踏み落とし

訓読

船にて鎮西に向かふ 其の一

萬里の潮風 単舸を送り
一輪の海月 千湾を照らす
枕頭 今聴く 讃岐の浪
夢裏 已に看る 筑紫の山

鎮西:九州のこと
単舸:一隻の船
海月:海上の月
讃岐:香川県
筑紫:福岡県

船で九州に向かう その一

万里のかなたまで吹き渡る潮風が一隻の船を送り
海上の一輪の月が幾千もの湾を照らし出す
枕辺で今聞こえるのは讃岐の波だが
夢のなかではすでに筑紫の山が見えている

補足

フェリーで九州に向かっている途中を詠んだ詩です。起承が対、転結が対の全対格の詩です。