屋久島山行 其三

蘚徑崎嶇樹鬱蒼
葉間僅見碧空光
稚杉應冀千年後
百尺摩天望大洋

2009年10月作

押韻

蒼・光・洋:下平声七陽韻

訓読

屋久島山行 其の三

蘚径 崎嶇として 樹 鬱蒼たり
葉間 僅かに見る 碧空の光
稚杉 応に冀(こひねが)ふべし 千年の後
百尺 天を摩して大洋を望むを

蘚徑:コケにおおわれた小道
崎嶇:山道の険しいさま
稚杉:子供の杉、小さな若杉

屋久島の山歩き その三

苔むした山道は険しく、木々は鬱蒼とおいしげる
青空の光は木の葉の隙間からわずかに見えるばかり
この薄暗い森の中で小さな若杉はきっと願っているにちがいない、千年ののちに
高さ百尺、天にも届く巨木となって大海原を見はるかすことを

補足

この詩は平成22年、第2回諸橋轍次記念漢詩大会の最優秀賞を受賞しました。