船到門司

一宵已過萬重山
遂到鎮西望翠鬟
港浦雖無鷗鳥舞
雲光迎客照平湾

2009年10月

押韻

山・鬟・湾:上平声十五刪韻

訓読

船にて門司に到る

一宵 已に過ぐ 萬重の山
遂に鎮西に到りて 翠鬟を望む
港浦 鷗鳥の舞ふこと無しと雖も
雲光 客を迎へて 平湾を照らす

門司:北九州市の門司港(正確には北九州港の新門司フェリーターミナル)
鎮西:九州のこと
翠鬟:字義どおりには,緑のわげ(頭上に束ねて輪にした婦人の髪型)。緑の山の姿のたとえ。

船で門司に到着する

一晩ですでに幾重にも重なる山々を通り過ぎ
かくて船は九州に到着し,緑の山が望まれる
港にはカモメが舞う姿こそないものの,
雲から漏れ来る日の光が旅人を迎えて,波穏やかな湾を照らし出す

補足

夕方に大阪南港を出発したフェリーは翌朝、門司に到着し、無事、九州に上陸できました。