發麑城赴屋久島舟中 其三

南海浪高潮色濃
錦江灣外水無窮
遙望孤鳥欲消處
夕雨霽來餘彩虹

2009年10月作

押韻

濃・窮・虹:上平声一東韻 起句の「濃」は上平声二冬韻からの借韻

訓読

麑城を発して屋久島に赴く舟中 其の三

南海 浪高くして潮色濃やかに
錦江湾外 水 窮まり無し
遥かに望む 孤鳥の消えんと欲する処
夕雨 霽れ来って 彩虹を余す

霽:雨がはれる
來:動詞の後について動作が起ころうとする意味をあらわす助字

鹿児島を出発して屋久島に向かう船の中の作 その三

南の海は波が高く潮の色は濃く
錦江湾の外では海の水は果てしなく広がっている
一羽の鳥が消え去りそうなあたりを遥かに望むと
夕立が晴れ上がって、あとには色鮮やかな虹が残っている