發麑城赴屋久島舟中 其一【2009.10】( 麑城を発して屋久島に赴く舟中 其の一)
發麑城赴屋久島舟中 其一
白煙靑靄隔灣浮
飛艇排波劃两州
決眥遙望千里外
南溟不見卅餘洲
2009年10月
押韻
浮・州・州:下平声十一尤韻
訓読
麑城を発して屋久島に赴く舟中 其の一
白煙 青靄 湾を隔てて浮かび
飛艇 波を排して両州を劃す
眥を決して遙かに望む 千里の外
南溟 見えず 卅余洲
注
麑城:鹿児島の街
飛艇:飛ぶように速い船
劃:区切る。分ける。
两州:薩摩と大隅の二つの国
決眥:目を大きく見開く
南溟:南の海
卅餘洲:卅は三十。洲は島。三十あまりの島々。南西諸島の島々。
訳
鹿児島を出発して屋久島に向かう船の中の作 その一
白い霧、青いもやが錦江湾の両側に浮かび
飛ぶように速い船が波を押しのけて進み、薩摩と大隅の二つの国を区切っていく
目を大きく見開いて千里の外まで見渡してみるが
南に広がる海に三十余りある島々はまだ見えない
補足
鹿児島から屋久島へ向かって錦江湾を南下する高速艇はちょうど西側の薩摩と東側の大隅の間を区切るように進んでいきます。承句はそのことを詠んでいます。
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