登阿蘇山 其二

百尺深坑掩鼻看
血池騰沸毒煙蟠
方知陰火偏烘嶽
未觸亂巖秋雨乾

2009年10月作

押韻

看・蟠・乾:上平声十四寒韻

訓読

阿蘇山に登る 其の二

百尺の深坑 鼻を掩(おほ)ひて看れば
血池 騰沸して 毒煙 蟠(わだかま)る
方に知る 陰火の偏へに岳を烘るを
未だ乱巌に触れずして秋雨乾く

:あな
騰沸:沸騰に同じ
:今まさに、このときまさに
陰火:地下で燃えている火。この陰火が天地をあたためていると考えられた。岑参《熱海行 送崔侍御還京》「陰火潜燒天地爐 何事偏烘西一隅(陰火潜かに天地の爐を焼くに 何事ぞ偏へに西の一隅をのみ烘る)」

阿蘇山に登る その二

火口にある百尺の深い穴を、手で鼻をおおいながらみると
地獄の血の池のように沸騰し、毒を含む煙がたまっている
今まさに知った、地下で燃える火がことさらにこの山ばかりあぶっていることを。
ごつごつした岩に触れる前にその熱で秋の雨は乾いて消えてしまうのだ

補足

阿蘇山頂での2首目です。