屋久島客次 其一【2009.10】(屋久島客次 其の一)
屋久島客次 其一
今宵掖玖懷肥薩
昨夜阿蘇憶洛京
一髪中原望不得
天涯獨聽海潮聲
2009年10月
押韻
京・聲:下平声八庚韻 起句は対句のため踏み落とし
訓読
屋久島客次 其の一
今宵 掖玖に肥薩を懐ひ
昨夜 阿蘇に洛京を憶ふ
一髪の中原 望めども得ず
天涯 独り聴く 海潮の声
注
客次:旅館
掖玖:屋久島。日本書紀に屋久島を「掖玖」と記述あり
肥薩:肥後と薩摩
洛京:みやこ。京都。
一髪:遠くの陸地が一本の髪の毛のように細く見えるさま。蘇軾《澄邁駅通潮閣詩》「青山一髪是中原(青山一髪是れ中原)」
望不得:「望得(望むことができる)」の否定型。
訳
屋久島の宿
今宵はここ屋久島で熊本や鹿児島でのことを懐かしくおもい
昨夜は阿蘇で京都のことを思い出していた
ここから本土を望んでも髪の毛ほどの細い陸地すら見ることはできず
天の果てでひとり潮騒を聞くばかりだ
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