霜晨散策

冒寒曳杖有誰先
獨印新霜跡畫然
戸戸應難脱衾褥
今朝比昨少炊煙

2024年11月

押韻

下平声一先韻:先・然・煙

訓読

霜晨散策

寒を冒して杖を曳けば 誰有ってか先んぜん
独り新霜に印すれば 跡 画然たり
戸戸 応に衾褥を脱し難かるべし
今朝 昨に比して 炊煙少なし

衾褥:ふすまとしとね。寝具。

霜の降りた朝の散歩

寒さに負けず杖をついて出かける私に先んじる人など誰もいない
ただ一人、初霜を踏んでいけば足跡がくっきりと残る
どの家でも、きっと寒くてまだ布団から出られないのだろう
今朝は昨日と比べて家々から上る炊煙が少ないようだ

補足

2024年11月提出の春風吟社課題詠です。霜が降りた朝といっても、一昨日も昨日も霜が降りていたら感慨も弱まっていくので、基本的には初めて霜が降りた朝という設定にしたほうが詠みやすくなります。この詩もそういう設定で詠んでいます。