除夕寄友

今歳多憂時忽過
明朝無喜齒空加
送君賀信尚難就
明滅寒燈奈眼花

2024年12月

押韻

下平声六麻韻:過(歌韻から借韻)・加・花

訓読

除夕 友に寄す

今歳 憂ひ多くして 時 忽ち過ぎ
明朝 喜び無くして 歯(よはひ) 空しく加はる
君に送る賀信 尚ほ就り難し
明滅せる寒灯 眼花を奈んせん

齒:よわい。年齢。
賀信:年賀状。 太刀掛呂山《新春雜詠》「賀信超千披閲匆」
眼花:眼のかすみ。 白居易《病眼花》「花發眼中猶足怪 柳生肘上亦須休」

除夜に友に寄せる詩

今年は憂いばかり多いなかで時があっという間に過ぎ
明朝には喜びもなく無駄に年齢がひとつ増える
君に送る賀状だが、まだ出来上がりそうにない
明るくなったり暗くなったりする寒々しい灯火のもとでは、この眼のかすみをどうしようもないのだ

補足

2024年12月提出の春風吟社課題詠です。

起句末の「過」は平仄両韻ですので、仄韻ととれば起承対句による踏み落としとなります。