一碧湖 其三【2008.11】(一碧湖 其の三)
一碧湖 其三
鴛鴦相寄共忘飛
魚影分明波動微
碑上夫妻歌作耦
双篇賦得碧湖輝
2008年11月
押韻
飛・微・輝:上平声五微韻
訓読
一碧湖 其の三
鴛鴦相ひ寄りて共に飛ぶを忘れ
魚影 分明にして 波動微かなり
碑上 夫妻の歌 耦を作し
双篇 賦し得たり 碧湖の輝き
注
鴛鴦:おしどり.鴛がオス,鴦がメス.
夫妻:与謝野鉄幹(本名寛)と晶子(本名しよう)の夫妻.
耦:対
訳
一碧湖 その三
おしどりのつがいが身を寄せ合い、二羽とも飛ぶことを忘れたように水面に浮かんでいる
魚の姿がはっきり見えるほどに水は透き通り、波の動きはかすか
石碑には、与謝野鉄幹と晶子の短歌が対をなして刻まれており
その二首の歌は一碧湖の輝きを歌いつくしている
補足
一碧湖畔を歩いていると、石碑がありました。何の碑かと思って読んでみると、与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌が並んで刻まれていました。
初夏の天城おろしに雲ふかれみだれて影す伊豆の湖 (鉄幹)うぐいすがよきしののめの空に鳴き吉田の池の碧水まさる (晶子)
与謝野夫妻もたびたび一碧湖を訪れていたそうです。澄みわたる湖の美しさと俗塵を遠く去った清らかな空気を愛したのでしょう。
なお、起句のオシドリも実景です。与謝野夫妻を取り上げる詩におあつらえ向きの光景だったので、これ幸いと使わせてもらいました。
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