自熱海至初島船中作 其二【2008.11】(熱海より初島に至る船中の作 其の二)
自熱海至初島船中作 其二
豆州翠黛蔽蓮峰
但見高樓海閣重
船出港門行數里
漸凌衆岳發芙蓉
2008年11月
押韻
峰・重・蓉:上平声二冬
訓読
熱海より初島に至る船中の作 其の二
豆州の翠黛 蓮峰を蔽ひ
但だ見る 高樓 海閣の重なるを
船 港門を出でて 行くこと數里にして
漸く衆岳を凌いで 芙蓉 發く
注
豆州:伊豆
翠黛:緑の山
蓮峰:富士山
漸:だんだんと
凌:他のものの上へ出る,乗り越える
發芙蓉:字義どおりには「芙蓉の花が開く」.富士山を「芙蓉峰」と呼ぶことから,ここでは富士山が顔をのぞかせたことをいう.
訳
熱海から初島までの船の中の作 その二
伊豆の山々が富士山を覆い隠してしまっているので
見えるのは海辺の高いビルが重なりあうさまばかり.
ところが船が港を出て数里ばかり進むと
だんだんと山々の上に芙蓉の花のような富士山が顔をのぞかせてきた
補足
熱海港から船が出たばかりの時には,船から富士山は見えないのですが,しばらくして船が陸から大分遠ざかると,伊豆の山々の上に富士山の白い頂が姿を見せます.考えてみれば当たり前の出来事なのですが,実際に体験するとなかなか面白いものです.
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