潮岬偶詠 其一【2009.07】
潮岬偶詠 其一
亂松抱石向潮風
掠日飛鷗欲被烘
海接天邊雲沸湧
扶桑南盡激波中
2009年7月
押韻
風・烘・中:上平声一東韻
訓読
被烘:焼かれる.「被」は受身の助動詞
沸湧:水が湧いて噴き出る.ここでは雲が噴水のように湧き起こること.
結句:吉村迂斎の「葭原雜詠 其二」の「扶桑西盡白雲間」を下敷きにしている.扶桑は日本のことだが,ここでは本州を指す.
注
潮岬偶詠 其の一
乱松 石を抱いて 潮風に向かひ
日を掠むる飛鷗 烘かれんと欲す
海 天に接する辺り 雲 沸湧す
扶桑 南に盡く 激波の中
訳
潮岬でたまたま詠む
乱雑に生えた松は石に抱きつくように根を張り,潮風に向かって枝を伸ばす
太陽を掠めて飛ぶカモメは,強い日差しに焼かれてしまいそうだ
海が空に接する辺りでは,雲が噴水のように湧き起こり
本州最南端の陸地は,激しい波のただ中に尽きている
補足
7月の終わりに3連休がとれたので南紀を旅してきました.詩のタネをたくさん仕入れてきたので,まだまだまとめきれてないのですが,全部まとめてからとなると,いつになるかわからないので,詩になったものからどんどんアップしていきます.
潮岬は本州最南端の岬です.串本駅からバスで15分程度で行くことができます.天気予報では大雨になるといわれていたのですが,天の助けか,見事な青空が広がり,雄大な海景色を堪能することができました.
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