那智勝浦晩歩

潮香滿巷雨如煙
細路大街通海邊
晩景就中何最好
懶猫横臥酒家前

2009年8月

押韻

煙・邊・前:下平声先韻

訓読

那智勝浦晩歩

潮香 巷に満ち 雨 煙のごとし
細路 大街 海辺に通ず
晩景 就中 何れか最も好き
懶猫 横臥す 酒家の前

晩歩:夕暮れの散歩
:霧
大街:大通り.
就中:なかんづく.そのなかでも
懶猫:ものぐさな猫

那智勝浦の夕暮れ散歩

潮の香りが町に満ち,雨は霧のように細かい
この町では細い小道も大通りもみな海辺へと通じている
この町の夕暮れの景色の中で最も好ましいのは何だろうか
それは,ものぐさな猫が飲み屋の前で横たわっている,そんな景色だ

補足

那智山から旅館に帰って,服を着替えたあと,夕食を食べに行きがてら,那智勝浦の町をぶらぶらと歩いて港町情緒を楽しみました.猫もうまい魚をたくさん食べているのか,よく太っていました.