潮岬偶詠 其二

炎日燒崖沸碧波
潮声蝉語響交加
遠船不動雲峰下
萬里南風吹鬢華

2009年7月

押韻

波・加・華:下平声八麻韻.「波」は歌韻からの借韻

訓読

潮岬偶詠 其の二

炎日 崖を燒きて 碧波を沸かし
潮声 蝉語 響き交加す
遠船 動かず 雲峰の下
萬里の南風 鬢華を吹く

炎日:真夏の燃え盛る太陽
交加:いりまじる
雲峰:雲の峰.山のように高くわきあがる積乱雲
鬢華:鬢(耳ぎわの髪)の白髪

潮岬でたまたま詠んだ

燃え盛る太陽は,崖を焼き,青い波を沸騰させるかのように照りつけ
潮の音と蝉の声の響きがいりまじる
遠くを行く船は雲の峰の下で動いていないように見え
万里のかなたから吹いてくる南風が耳ぎわの白髪を吹く

補足

潮岬を詠んだ詩の2首目です.「鬢華を吹く」なんてことを詠めるのも若白髪のおかげです.若白髪も捨てたもんではありません.