初夏郊行【2009.05】
初夏郊行
參差乙鳥掠雲飛
水底分明蝌蚪肥
燕子花搖胡蝶起
一条風裏白翎輝
2009年5月
押韻
飛・肥・輝:上平声五微韻
訓読
初夏郊行
参差たる乙鳥は雲を掠めて飛び
水底 分明にして 蝌蚪は肥ゆ
燕子花 揺れて 胡蝶 起ち
一条の風の裏 白翎 輝く
注
參差:飛び交うさま.子音が同じ双声語
乙鳥:ツバメ
分明:はっきりみえるさま
蝌蚪:おたまじゃくし
燕子花:カキツバタ
起:飛び立つ
裏:うち,なか
白翎:白いつばさ,はね
訳
初夏の野歩き
飛び交う燕は空の雲をかすめ
水の底がはっきり見えてオタマジャクシはすくすく育っている
カキツバタの花が揺れると1匹の蝶が飛び立ち
ひとすじの風のなか,白い羽が輝いた
補足
以前,桃の花を詠みに行った城陽市の観音堂地区ですが,桃以外にも,カキツバタや花しょうぶ,カラーなどの産地として知られ,夏になるとこれらの花が一帯をいろどります.
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