夜看櫻花於鴨東白川 其一

無月雨餘花自輝
幾千枝下水声微
樓燈照出小橋上
美女淡粧唇獨緋

2009年3月

押韻

輝・微・緋:上平声五微韻

訓読

夜 桜花を鴨東白川に看る 其の一

無月 雨余 花 自ら輝き
幾千の枝下 水声 微なり
楼灯 照らし出だす 小橋の上
美女の淡粧 唇のみ獨り緋なるを

鴨東:文字通りには鴨川の東.特に祇園の花街を指す.江戸時代の文人中島棕隠に「鴨東四時雜詞」あり.
白川:祇園を流れて鴨川に注ぐ小川
雨餘:雨後に同じ
:ここでは茶屋を指す
淡粧:薄化粧

夜に鴨東白川で桜を見る

月のない雨上がりの夜だが,花はそれ自身で輝き,
幾千もの桜の枝の下を流れる水の音がかすかに聞こえる
茶屋からもれる明かりに照らし出されるのは,小さな橋の上に立つ
美女の薄化粧のなか,その唇だけが真っ赤で目を引くさまだ

補足

4月上旬,河原町三条近辺で飲んだ後,祇園白川の桜がライトアップされて綺麗だというので,皆で見に行きました.昼から降っていた雨もすでにやみ,満開の桜が白川沿いに咲き誇って見事でした.