城陽城市之南有一村落曰觀音堂因以産桃子甚有声価春日遊焉賞花作詩 其一

馥郁夭桃影亦香
枝枝競艶放紅光
春愁何以起心底
村徑田家似故郷

2009年4月

押韻

香・光・郷:下平声七陽韻

訓読

城陽城市の外,一村落有り,觀音堂と曰ふ,桃子を産するを以て,甚だ声価有り,春日焉に遊び,花を賞して詩を作る 其の一

馥郁たる夭桃 影も亦た香り
枝枝 艶を競ひ 紅光を放つ
春愁 何をか以つて 心底に起こる
村徑 田家 故郷に似たればなり

城市:まち
桃子:桃の実
有声価:有名である
馥郁:かぐわしいさま
夭桃:若くて美しい桃の木

城陽の町のはずれに,観音堂という集落があり,桃の産地として有名である.春の日ここに出かけ,花をめでて詩を作った その一

かぐわしく咲き誇る桃の若木は,その影も香るかのよう,
枝々は艶やかさを競って赤いかがやきを放っている.
こんな見事な景色のなかで,どうして春の愁いが心に起こるのだろうか
この田舎道や農家のようすが故郷に似ているからだ

補足

城陽市には観音堂という桃の産地があります.最盛期は江戸末期から明治中頃だったそうですが,現在でも年間15トンを出荷しているというだけあって,春になればそこかしこに桃の花が咲き誇ります.