木津江堤春遊 其二

木津江畔滿堤花
草醉櫻香帯落葩
習習春風吹面軟
白雲映水燕飛斜

2009年4月

押韻

花・葩・斜:下平声六麻韻

訓読

木津江堤春遊 其の二

木津江畔 満堤の花
草は桜香に酔ひ 落葩を帯ぶ
習習たる春風 面を吹いて軟らかく
白雲 水に映じて 燕 飛ぶこと斜めなり

落葩:落花に同じ
習習:春風の吹くさま

木津川の堤の春遊び

木津川べりには堤いっぱい咲き誇る花
草も桜の香りに酔い,落花を身に帯びる
そよそよと春風が私の顔をやわらかく吹き
白い雲が木津川の水に映り,その上を燕が斜めに飛んでいく

補足

漢詩や漢文の中で日本の地名を使うとき,そのまま使用することを避けて唐風の雅名に変換して用いることがよくあります.たとえば,隅田川は「墨水(あるいは墨江)」であり,日光は「晃山」であり,鎌倉は「鎌臺」であり,淀川は「澱江」です.木津川にもそういう雅名があれば使いたいところですが,寡聞にして私は知りませんので,そのまま「木津江」にして使いました.