瀞峡 其四【2009.07】
瀞峡 其四
滿峡翠煙凝作川
水中沙石透微漣
白雲不管三州界
自在行游幾百巓
2009年7月
押韻
川・漣・巓:下平声一先韻
訓読
瀞峡 其の四
満峡の翠煙 凝りて川と作(な)り
水中の沙石 微漣に透く
白雲は管せず 三州の界
自在に行游す 幾百の巓
注
翠煙:青々と茂る木々にかかるモヤ
凝:凝縮する,凝りかたまる
微漣:さざなみ
不管:気にしない,こだわらない
三州:紀伊,伊勢,大和の三国。瀞峡は和歌山・三重・奈良三県の県境が複雑に入り組む場所に存在する。
界:境界,さかい
行游:旅してまわる
巓:いただき,山頂
訳
瀞峡
峡谷の木々にかかるモヤが凝り固まって川となって流れ,
水中の砂や石は漣に透けて見える
空の白い雲は国ざかいなどおかまいなしで,
思うままに何百もの山のいただきを行き来している
補足
瀞峡近辺の行政区分は甚だ複雑です。瀞峡行きのジェット船の発着場のある志古から北山川をさかのぼっていくと,最初は右が三重県熊野市,左が和歌山県新宮市なのですが,やがて川は奈良県十津川村に入り,その後,再び熊野市と新宮市の境を行ったあと,今度は十津川村と熊野市の境を行くことになります。そして,瀞峡をすぎてさらに川をさかのぼると,全国唯一の飛び地村,和歌山県北山村があります。たぶん,この説明ではどこがどうなっているのかさっぱりだと思います。興味のある方はご自身で地図をご覧ください。
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿