舟遊江州八幡水郷 其二

東圃靑蔬臨漲潦
西疇黄麦映平波
水郷農父川爲路
去艇来舟舷屢摩

2009年5月

押韻

波・摩:下平声五歌韻.対句のため起句は踏み落とし

訓読

舟にて江州八幡の水郷に遊ぶ 其の二

東圃の靑蔬 漲潦に臨み
西疇の黄麦 平波に映ず
水郷の農父は川を路と爲し
去艇 来舟 舷 屢(しばしば)摩す

:野菜
漲潦:みなぎる水
農父:農夫
:ふなばた、ふなべり。舟の側面
:こすれる

船で近江八幡の水郷に遊ぶ

東の畑の青い野菜はみなぎる水にのぞみ
西の畑の熟した麦はおだやかな波に映る
水郷の農夫たちは川を路として使っているので
行き来する数々の舟はふなべりがしばしばこすれ合いそうになる

補足

水郷を行き来しているのは,観光用の舟だけではありません.地元の方にとっては舟が車代わりという面もあるので,そういう生活用の舟とも出会います.当然のことながら,観光用の手漕ぎの舟と違い,生活用の舟はエンジンで疾走していますが,水路のせまい部分で観光用の舟を追い越すときは間近を通り過ぎていくので,水しぶきを飛ばさないようにちゃんとスピードを落としてくれます.