丁酉正月次中斎大鹽先生韻

浮世又迎丁酉年
一身竊愧餠霑咽
貧窮凍餒何無盡
欲問先生空仰天

2017年1月

押韻

年・咽・天:下平声一先韻

訓読

丁酉正月 中斎大塩先生の韻に次す

浮世 又た迎ふ 丁酉の年
一身 窃(ひそ)かに愧づ 餅 咽を霑(うるほ)すを
貧窮 凍餒 何ぞ尽くること無き
先生に問はんと欲して空しく天を仰ぐ

丁酉:ひのとのとり。平成29(2017)年。
中斎大鹽先生大塩平八郎。中斎は大塩の号。
次韻:同じ韻字を使って詩を作ること。この詩は大塩平八郎が天保8(1837)年正月に作った詩の韻字「年・咽・天」を用いている(→参照:大塩平八郎「題不知」)。天保8年の干支も丁酉であり、この年の2月、大塩は挙兵した。
浮世:定めなき、はかない世。
貧窮:貧しくて生活に苦しむこと
凍餒:衣食がなく、凍えて飢えること。

丁酉の年の正月、大塩中斎先生の詩に次韻して作った

定めなきこの世がまた、先生が挙兵したのと同じ丁酉の年を迎えた
先生と同じように、わが身ひとり雑煮でのどをうるおしていることをひそかに恥ずかしく思う
貧しく生活に苦しむ人、凍えて飢える人が、どうしていなくならないのだろうか
大塩先生にたずねたいところだが先生はすでに亡く、むなしく空を仰ぐばかりなのだ

補足

今年は大塩平八郎の乱が起きた天保8年と干支が同じ丁酉の年ということで、大塩先生がその年の元旦に詠んだ詩に次韻しました。次韻については「丁酉元旦次福翁韻」でやや詳しく述べてあるのでご参照ください。