丁酉元旦登摩耶山 其三

曙光遍海一灣姸
豆小飛禽點遠天
不怪歳朝無釣艇
只驚賽客滿山巓

2017年1月

押韻

姸・天・巓:下平声一先韻

訓読

丁酉元旦 摩耶山に登る 其の三

曙光 海に遍(あまね)くして一湾 姸なり
豆小の飛禽 遠天に点ず
怪しまず 歳朝 釣艇無きを
只だ驚く 賽客の山巓に満つるを

曙光:あけぼのの光。夜明けの明かり。
遍海:海のすみずみまでいきわたる
:うつくしい。あでやか。
豆小:豆粒ほどに小さい。
遠天:遠くの空。
釣艇:釣り船。「艇」は細長い小舟、ボート。
賽客:参拝客。
山巓:山頂。

丁酉の年の元旦、摩耶山に登る その三

あけぼのの日の光が海のすみずみまでいきわたり、湾全体があでやかだ
豆粒ほどに小さい飛ぶ鳥が遠くの空の黒い点になっている
元旦の海に釣り船がないのは不思議ではないが
ただ驚くのは山頂が参拝客でいっぱいになっていることだ

補足

年に一度のこととあって、絶好の場所で初日の出を拝みたいという気持ちは皆おなじようで、摩耶山に登るケーブルカー・ロープウェーの乗車は長蛇の列、山頂にも人がいっぱいでした。おそらく日本全国の他のビュースポットでも似たような状況だったのでしょう。ともかくも見事な初日の出が拝めてありがたいことでした。