新春雜詠

賽客抽籤悲喜濃
怪他任運決窮通
與甘吉卦招凶阨
寧轉凶祥爲吉隆

2025年1月

押韻

上平声一東韻:濃(冬韻から借韻)・通・隆

訓読

新春雑詠

賽客 籤を抽きて 悲喜 濃やかなり
怪しむ 他の運に任せて 窮通を決するを
吉卦に甘んじて 凶阨を招かんよりは
寧ろ 凶祥を転じて 吉隆と為せ

抽籤:おみくじを引く。神仏に祈ってくじを引き吉凶を判断する。 《幸蜀記》「王衍禱張惡子廟、抽籤得逆天者殃四字」
與A寧B:AするよりはBせよ
吉卦:良い卦。めでたい卦。 《説苑・反質》「孔子卦得賁、喟然而嘆息、意不平、子張進、擧手而問曰、師聞、賁者吉卦、而嘆之乎」 凶阨:わざわい。
凶祥:凶事のきざし。
吉隆:幸いを得て盛んなこと。 《漢書・藝文志》「聖王必正歷數、以定三統服色之制、又以探知五星日月之會、凶阨之患、吉隆之喜、其術皆出焉」

新春についての雑詠

参拝客たちはおみくじを引いてその結果に深く喜んだり悲しんだりしているが
彼らが運任せで人生の成否を決めるのが不思議でならない
おみくじが吉だったことに満足して災いを招いてしまうよりは
おみくじが凶でもそれに対処して幸運に変えるべきなのである

補足

2025年1月提出の春風吟社課題詠です。「新春についての雑多な事物を詠む」というだけなので、パターンはいくらでもあり、かえって難しい題ですが、おみくじを題材にしてみました。全篇理屈の詩になってしまい、めでたさに乏しい作品になったのが不満な点です。