雪中探梅【2024.01】(雪中 梅を探る)
雪中探梅
梅色難分雪色中
況於頃歳眼花穠
東風須與詩人便
一脈傳香導短筇
2024年1月
押韻
上平声二冬韻:中(東韻からの借韻)・穠・筇
訓読
雪中 梅を探る
梅色 分かち難し 雪色の中
況んや 頃歳 眼花の穠るにおいてをや
東風 須らく 詩人の与(ため)に便じ
一脈 香を伝えて 短筇を導くべし
注
分:見分ける
況於:まして~はなおさらだ
頃歳:近年、ちかごろ
眼花穠:「眼花」は目のかすみ、ぼやけを「眼のなかに咲いた花」にたとえたもの。老眼や白内障など老化による視力低下を指す。「穠」は花がさかんに咲くこと。 白居易《別行簡》「漠漠病眼花 星星愁鬢雪」
東風須…:この「須」は結句の終わりまでかかる
與~便:~のために都合よくする。 杜牧《赤壁》「東風不與周郎便 銅雀春深鎖二喬」
短筇:短い杖。腰の曲がった老人がつくので短い。 陸游《遣興》「柔櫓搖殘天鏡月 短笻領盡石帆秋」
訳
雪の中、梅の花を探す
雪景色の中で白い梅は見分けにくい
まして近頃、目のかすみがひどい状況ではなおさらだ
東風にはぜひともこの詩人のために都合よく吹いてもらい
ひとすじの香りを運んできて私の短い杖を梅の花まで導いてほしいものだ
補足
春風吟社2024年2月提出の題詠です。単なる「探梅」ではなく「雪中」ならではの探梅の苦労や喜びを詠みこむことが必要です。この詩では杜牧の有名な「東風 周郎がために便ならずんば」をもじって転句に持ってくることで、雪の中では香りをたよりに梅を探すしかないという内容を少し洒落た感じに詠んでみました。
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