謹賦宸題 和【2024.01】(謹んで宸題「和」を賦す)
謹賦宸題 和
曲説虛談紛不收
驅憎煽怨友爲仇
愼思太子貴和訓
十七條中在劈頭
2024年1月
押韻
下平声七陽韻:收・仇・頭
訓読
謹んで宸題「和」を賦す
曲説 虚談 紛として収まらず
憎しみを駆り 怨みを煽って 友も仇と為す
慎み思ふ 太子 貴和の訓(おし)へ
十七条中 劈頭に在るを
注
宸題:天子の出す詩歌の題。ここでは宮中歌会始のお題。令和6年(2024年)のお題は「和」
曲説:一方にかたよって正しくない議論。
紛:入り乱れるさま。
驅憎煽怨:「驅煽憎怨(憎怨を驅煽す)」の互文。憎しみや怨みをそそのかし煽る。
愼思:よくよく考えてみる。学問の五つの方法(博学・審問・慎思・明弁・篤行)の一つ。 太子:聖徳太子。「太子堂」「太子信仰」「太子町(大阪府南河内郡/兵庫県揖保郡)など「太子」のみで聖徳太子を意味する用法が多いのでそれに倣った。
貴和:和を貴ぶ。和を以て貴しと為す。 陳祐《三本書》「大臣貴和不貴同、和于義則公道昭明、有揖讓之治」 《聖徳太子《十七條憲法》「一曰、以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨。亦少達者。以是、或不順君父。乍違于隣里。然上和下睦、諧於論事、則事理自通。何事不成。」
十七條:聖徳太子の十七条憲法
訳
つつしんで御題の「和」で詩を詠む
世界では偏った意見や偽りに満ちた作り話が入り乱れて収まらず
人々の憎しみや怨みをそそのかし煽って、友人同士をも仇同士に変えてしまう
こんな今、よくよく考えさせられるのは、聖徳太子の「和を以て貴しと為す」という教えが
十七条憲法の一番最初に説かれていることの意味である
補足
今年も例によって歌会始の御題を漢詩で詠みました。「和」と聞いてすぐに思い浮かべたのが「和を以て貴しと為す」だったので、これを現下の陰謀論やフェイクニュースのあふれる世相にからめてまとめてみました。
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