初冬偶成【2021.11】
初冬偶成
一天風冷曉雲開
空圃新霜帶日來
三兩村童喧底事
相誇呼氣最皚皚
2021年11月
押韻
開・來・皚:上平声十灰韻
訓読
初冬偶成
一天 風冷ややかに 暁雲開き
空圃の新霜 日を帯び来たる
三両の村童 喧しきは底事ぞ
相ひ誇る 呼気 最も皚皚たりと
注
來:動作がある方向へ進む、また、ある状態になってくる、という意味の助字。
三兩:兩三に同じ。二三。 白居易《琵琶行》「轉軸撥弦三兩聲 未成曲調先有情」
底事:「何事」に同じ。なぜ、どうして、どうしたことか。
皚皚:真っ白なさま。
訳
初冬たまたま出来た詩
空には冷たい風が吹いて明け方の雲が晴れ
何もない畑に降りた霜に日が差して輝きはじめた
村の子供たちが二三人騒いでいるのはいったい何事だろうか
自分の吐く息が一番真っ白だぞとお互いに自慢しあっているのだ
補足
春風吟社11月提出の題詠です。単なる「冬」ではなく「初冬」であることを表現しないといけないところが難点です。この詩では、初冬に急に冷え込んだ朝、まだ白い息に慣れていない子供たちが面白がって息の白さを競い合っている、という情景にしてみました。真冬になれば息が白いのも当たり前になり子供たちが騒ぐこともないので、初冬ならではのシーンというわけです。
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