湯川秀樹博士歿後四十年【2021.09】
湯川秀樹博士歿後四十年
千載堪稱不朽功
叡知究理頌聲隆
早親荘子非無故
蘊奧應存渾沌中
2021年9月
押韻
功・隆・中:上平声一東韻
訓読
湯川秀樹博士没後四十年
千載 称するに堪へたり 不朽の功
叡智 理を究めて頌声隆し
早に荘子に親しむは故無きに非ず
蘊奥 応に存すべし 渾沌の中
注
湯川秀樹:理論物理学者。中間子の存在を理論的に予想した業績により1947年ノーベル物理学賞受賞。1981年9月8日没。
蘊奧:学問などの奥義。
渾沌:天地万物がまだ形成されず陰陽の気が分かれていない状態。また、『荘子』に登場する中央の帝。湯川は漢学の素養があり、老荘思想に関心を持っていたことで知られ、特にこの渾沌の寓話に影響を受けたと生前語っていた。 《荘子・應帝王》「南海之帝為儵、北海之帝為忽、中央之帝為渾沌。儵与忽、時相与遇於渾沌之地。渾沌待之甚善。儵与忽諜報渾沌之徳曰、人皆有七竅、以視聴食息。此独無有。嘗試鑿之。日鑿一竅、七日而渾沌死。」
訳
湯川秀樹博士の没後40年
その業績は千載不朽の功と称えるにふさわしく
叡智をもって真理を究明した博士を褒めたたえる声は高い
博士が若い頃から『荘子』に親しんだのは理由がないわけではあるまい
量子力学の奥深い真理はきっと、『荘子』に出てくる渾沌の話のような曖昧模糊とした中にあるのだろう
補足
今や量子暗号が実用化されようかという時代、湯川博士の没後40年に際して、その偉大な業績をしのんで詩を詠んでみました。
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