辛丑正月獨吟

獨嘗羹餠戀蓴鱸
無奈他郷寤寐孤
何日家山迎歳旦
雙親膝下獻屠蘇

2021年1月

押韻

上平声七虞韻:鱸・孤・蘇

訓読

辛丑正月独吟

独り羹餅を嘗めて 蓴鱸を恋へども
奈んともする無し 他郷 寤寐に孤なるを
何れの日にか 家山に歳旦を迎へ
双親膝下 屠蘇を献ぜん

辛丑:令和3年(2021年)の干支
羹餠:雑煮。大塩中斎《題不知》「新衣着得祝新年 羹餠味濃易下咽」
蓴鱸:蓴羹鱸膾。故郷の食べ物。晋の張翰が蓴の吸い物と鱸のなますを懐かしむあまり官を辞して故郷に帰った故事から。
寤寐:寝ることと起きること。寝ても覚めても。

辛丑の年の正月ひとりで詠んだ詩

ひとりで雑煮をすすっていると故郷の味が恋しくなるが
他郷で寝ても覚めても孤独な身をどうしようもない
いったいいつになったら故郷で正月を迎え
両親のそばで屠蘇を献じることができるだろうか

補足

例年、正月だけは帰省しますが、今年はコロナ禍中のため中止し、自宅で過ごしたので、こんな詩を作ってみました。ただ、実際には、帰省しなくてよかった分、ゆっくり過ごすことができたというのが正直なところです。