謹賦宸題 實 其二

棗柿梅桃栗又梨
或能医渴或癒飢
南天竹子成何事
雪塊點睛爲兔兒

2021年1月

押韻

梨・飢・兒:上平声詩韻

訓読

謹んで宸題「実」を賦す 其の二

棗 柿 梅 桃 栗 又た 梨
或ひは能く渇を医やし 或ひは飢へを癒やす
南天竹子は何事をか成す
雪塊に睛を点じて兎児と為す

宸題:『謹賦宸題 實 其一』を参照。
南天竹子:ナンテン(南天竹)の実。南天実とも。
睛:ひとみ。眼。
兔兒:ウサギ。「兒」は名詞のうしろにつける接尾辞。

つつしんで御題の「実」で詩を詠む その二

棗、柿、梅、桃、栗に梨
これらの実はあるいは喉のかわきをいやし、あるいは空腹をいやしてくれる
それらにくらべて南天の実は何をしてくれるというのか
雪のかたまりに瞳をつけくわえてかわいいウサギにしてくれるのだ

補足

一首目がかなり形而上的な内容になってしまったので、二首目は「果実」の「実」をテーマにして、具象的・即物的な内容の詩にすることにしてできたのがこの詩です。

食べて美味しい果実だけでなく、南天のように人間の食べ物にはならないけど見た目で楽しめる実もある、という方向でまとまらないか考えていたところ、たまたまテレビに雪うさぎ(雪で作ったうさぎ)が映ったのを見て「これだ」と思いつき、一気に作り上げることができました。