篠山猪羹 其一【2019.03】(篠山の猪羹 其の一)
篠山猪羹 其一
豆栗蕈禾茶又酒
此州美産日東魁
就中滋味何尤勝
滿釜猪羹正熟來
2019年3月
押韻
魁・來:上平声十灰韻
訓読
篠山の猪羹 其の一
豆 栗 蕈 禾 茶 又た 酒
此の州の美産は日東の魁
就中 滋味 何れか尤も勝る
満釜の猪羹 正に熟し来たる
注
篠山:兵庫県篠山市。2019年5月より丹波篠山市に市名変更。
猪羹:しし汁、しし鍋。牡丹鍋とも。猪肉を用いた鍋料理。
豆栗蕈禾茶又酒:黒豆、丹波栗、松茸、米、丹波茶、酒。いずれも篠山の特産品。
美産:すばらしい産物。 館柳灣《憶錦山松蕈寄高山諸友》「飛彈之州萬山囲 良材美産他所稀」
日東:日本
就中:なかんづく。 白居易《琵琶行》「就中泣下誰最多」
訳
篠山の猪鍋 その一
豆に栗、松茸、米、茶、さらに酒
ここ丹波の国のすばらしい産物は日本一
なかでも滋養になる味が最もすぐれているのは何だろうか
答えはこれ、鍋いっぱいのしし汁が今まさに出来上がるところだ
補足
毎年3月に開催される篠山ABCマラソンでは、コース途中のエイドとゴール地点の三の丸広場で名産の猪汁がふるまわれます。僕はさすがにレース途中に口にする余裕はありませんが、ゴール後の猪汁は毎回ありがたくいただきます。特に今回は、初サブ3を達成しての猪汁だったので、その味は格別でした。
なお起句の名産品の羅列ですが、広瀬淡窓の《閒居雜詩》に「禾麻粟麥豆 黽勉問鄰父(禾 麻 粟麥 豆 黽勉として隣父に問う」とあるのを参考にしました。
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