述懷

出郷已閲幾春秋
夙志蹉跎歸水漚
難醉難醒空把盞
慵嘆慵恨又慵憂

2023年6月

押韻

秋・漚・憂:下平声十一尤韻

訓読

述懐

郷を出でて已に閲す 幾春秋
夙志 蹉跎として 水漚に帰す
酔ひ難く 醒め難く 空しく盞を把れば
嘆くに慵く 恨むに慵く 又た憂ふに慵し

蹉跎:つまずく。失敗する。時機を失う。志を得ず人生がうまく行かないさま。
水漚:水に浮かぶ泡。うたかた。
慵:ものうい。面倒だ。

懐いを述べる

故郷を出てからすでにどれだけの年月がたっただろうか
当時の志は果たされることなく水の泡と消えた
酒に酔うこともできず、かといってしらふでもいられず、無駄に杯を手に取っていると
嘆くことも、恨むことも、心配することも、全てが面倒になってしまうのだ

補足

2023年6月提出の春風吟社の題詠です。「述懐」は直訳すれば「思いを述べる」というだけですが、ままならぬ人生への嘆き、悲しみ、恨みなどネガティブな内容を詠むのが一般的です。