苦寒

晩來寒氣不尋常
白盡書窗風雪狂
詩鬼固無期暖飽
頻呵凍筆苦吟長

2023年1月

押韻

常・狂・長:下平声七陽韻

訓読

苦寒

晩来の寒気 尋常ならず
書窓を白尽して 風雪 狂ふ
詩鬼 固より暖飽を期する無く
頻りに凍筆を呵して 苦吟 長し

白盡:白くし尽くす。真っ白にする。
詩鬼:詩にとりつかれた化け物
暖飽:暖衣飽食の略。暖かい衣服を着、腹いっぱいに食べる。恵まれた生活を送ること。

苦寒

夕暮れからの寒気が普通ではなく
やがて書斎の窓を真っ白にして風雪が荒れ狂うようになった
詩に取りつかれた自分はもとより暖衣飽食などあきらめている
凍った筆を何度も息で暖めながら今夜も苦吟を続けるのだ

補足

春風吟社2月の題詠です。