看菊花展

冷香澹淡晩秋園
黃白傲霜花朶繁
五斗折腰株豈在
凛然峻拒品評言


2022年10月

押韻

園・繁・言:上平声十三元韻

訓読

菊花展を看る

冷香 澹淡たり 晩秋の園
黄白 霜に傲りて 花朶 繁し
五斗 腰を折るの株 豈に在らんや
凛然 峻拒す 品評の言

澹淡:水や風にただようさま
五斗折腰:わずかな報酬のためにペコペコする。ここでは菊花展の賞金のために卑屈になることのたとえ。 《晉書隱逸列傳・陶潛》「郡遣督郵至縣、吏白應束帶見之、潛歎曰、吾不能爲五斗米折腰、拳拳事鄕里小人邪」 西脇呉石《菊》「五斗折腰吾豈敢 悠然把酒對東籬」

菊花展を観賞する

冷ややかな香りがただよう晩秋の庭園で
黄色や白の花が霜に負けることなくたくさん咲いている
わずかな賞金のために卑屈になるような菊はここにはない
人間たちの品評の言葉など凛々しい姿で厳しく拒絶している

補足

春風吟社十一月提出の題詠です。単に「菊花を看る」ではなく「菊花を看る」なので、菊を詠んだだけでは題意を失することになり、展覧会の要素を盛り込まないといけない点が難しいところです。