福翁歿後一百二十年

少小兼修蘭漢英
啓蒙著作説文明
泰然講義砲聲裏
勸學人尊勤學情

2021年2月

押韻

下平声八庚韻:英・明・情

訓読

福翁歿後一百二十年

少小にして兼ねて修む 蘭 漢 英
啓蒙の著作 文明を説く
泰然として義を講ず 砲声の裏
勧学の人は尊ぶ 勤学の情

福翁福澤諭吉(1835年1月10日~1901年2月3日)
少小:年若いこと。またその人。
蘭漢英:蘭学・漢学・英語。福澤は漢学を旧時代の遺物として批判したが、少年時代に漢学の手ほどきを受けている。19歳になると、まず長崎、次いで大阪の緒方洪庵の適塾で蘭学を猛勉強した。ところが開国後、横浜に出かけたところ、話されているのは全て英語だったため、今度は英語を猛勉強して修得した。
啓蒙著作:『西洋事情』『学問のすゝめ』『文明論之概略』など。
泰然講義砲煙裏:慶應4年5月、上野戦争の砲弾鳴り響く中、福澤はウェイランド『経済学原論』の講義をおこない、「慶應義塾は一日も休業したことはない。この塾のあらんかぎり大日本は文明国だ。世間にとんじゃくするな」と塾生をはげましたという。十数年後、この時の学生たちと集まりをもった時に福澤が詠んだ詩が『社友小集』である。
勸學:学問をすすめる
勤學:学問にいそしむ

福澤諭吉先生の没後120年

福翁は若くして漢学も蘭学も英語も修得し
国民を啓蒙する著作を世に出して文明とは何かを説いた
上野戦争の砲声が鳴り響く最中でも動じることなく講義をおこなったというが
『学問のすゝめ』を著した人だけに学問にいそしむ気持ちを何より尊んだのだ

補足

2月3日が福澤諭吉の没後120年だったので、詩にしてみました。上野戦争のときの有名なエピソードも盛り込んでなんとかうまくまとめることができたと思います。