奉賦令和二年御題 望 其二【2020.01】(令和二年の御題を賦し奉る 望 其の二)
奉賦令和二年御題 望 其二
開春冒曉謁祠堂
絡繹賽人祈願忙
天下經綸非我分
一身溫飽一心望
押韻
堂・忙・望:上平声七陽韻訓読
令和二年の御題を賦し奉る 望 其の二
開春 暁を冒して祠堂に謁すれば
絡繹たる賽人 祈願に忙し
天下の経綸は我が分に非ず
一身の温飽 一心に望む
開春 暁を冒して祠堂に謁すれば
絡繹たる賽人 祈願に忙し
天下の経綸は我が分に非ず
一身の温飽 一心に望む
注
開春:初春。新春。
冒曉:明け方から行動する。
祠堂:ほこら、やしろ。霊をまつった場所。日本の神社を指すのにも用いる。
絡繹:連なり続くさま。
賽人:参拝客。
經綸:制度を立てて天下国家を治めること。
分:天や世の中から与えられた務めや立場、才能。分際、本分、職分、天分などの「分」。この場合の「分」は仄声。
一身溫飽:わが身ひとつの幸福。「溫飽」は「溫衣飽食」の略。大塩中齋《題不知》「忽思域中多菜色 一身溫飽愧于天」
訳
令和二年の歌会始の題で詩を作りたてまつる 「望」
新年の朝早くから神社にお参りに行くと
列をなして並ぶ参拝客があれもこれもとせわしなく祈願している
私の場合は、天下国家を治めるような立場ではないので
心置きなく、わが身ひとつの幸福をただ一心に願うのだ
補足
転結は「天下国家を治める立場にある人は、当然、自分ひとりの幸福など後回しだろうが、自分の場合はそうではないので」というニュアンスです。大塩先生は「一身の温飽」を天に愧じていますが、僕は愧じるどころか、一心に願いました。もし大塩先生がこの詩を読んだら、激怒することでしょう・・・
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