雪後偶拈

宿雪晴來地閃銀
山河無處不淸新
豐年瑞兆眼前在
一日冱寒非苦辛

2018年12月

押韻

上平声十一真韻:銀・新・辛

訓読

雪後偶拈

宿雪 晴れ来たって 地は銀を閃めかし
山河 処として清新ならざるは無し
豊年の瑞兆 眼前に在り
一日の冱寒 苦辛に非ず

偶拈:たまたま作る。「拈」は詩句をひねる
宿雪:前夜からの雪
豐年瑞兆:雪を豊年の前兆とする考えは和漢ともに古くからある。《詩経・小雅・信南山》「上天同雲 雨雪雰雰」毛傳「雰雰雪貌、豐年之冬、必有積雪」 《萬葉集・巻十七》「あらたしき年のはじめに豊の年しるすとならし雪の降れるは」(葛井諸会)
冱寒:寒くて物が凍ること。また、厳しい寒さ

雪の後たまたま作った詩

昨夜からの雪が晴れてきて、地面に積もった雪が銀のようにきらめいている
山河のどこを見ても清新でないところはない
豊年のめでたい兆しである雪が目の前に積もっているのだから
今日一日寒さにこごえるくらいは辛いことではない

補足

春風吟社1月提出の題詠です。雪が晴れたあとの景色を描くのは必須ですが、そのあとどういう結論に持っていくかで個性が出る題でしょう。