春日訪友人

野徑風柔不厭長
門前庭際菜花香
老兄勿強令孫揖
丱女生憎趁蝶忙

2024年2月

押韻

下平声七陽韻:長・香・忙

訓読

春日 友人を訪ぬ

野径 風 柔らかにして 長きを厭はず
門前 庭際 菜花 香る
老兄 令孫に強ひて 揖せしむる勿れ
丱女 生憎(あいにく) 蝶を趁ふに忙し

菜花:野菜の花、あるいは油菜の花。
老兄:年上の友人に対する敬称。
強:「しいて」「無理に」の意味のときは仄声。
令孫:他人の孫を呼ぶ敬称。
揖:両手を胸の前で組み合わせて前におしすすめて敬意をあらわす。礼儀正しく挨拶する。
丱女:髪をあげまきに結んだ少女。幼い女の子。
生憎:あいにく、あやにく。

春のひと日、友人を訪ねる

野原の小道には柔らかな風が吹き、道のりが長くても嫌にはならない
到着してみると、門の前にも庭先にも菜の花が香っている
先輩、お孫さんに挨拶を無理強いしないでください
幼い彼女はあいにく蝶を追いかけるのに忙しいようです

補足

春風吟社2024年3月提出の題詠です。季節もシチュエーションも詩題によって明確に設定されているので、それを踏まえつつ、何らかのプラスアルファの要素を持ち込んでアクセントにするという作り方になるでしょう。この詩では友人のお孫さんを登場させてアクセントにしました。