平野五岳

讀五岳上人詩

棋忘輸贏畫入神
愛錢愛酒況佳人
詩僧超俗不嫌俗
二百餘篇總保眞

2020年6月

押韻

上平声十一真韻:神・人・真

訓読

五岳上人の詩を読む

棋は輸贏を忘れ 画は神に入る
銭を愛し酒を愛す 況や佳人をや
詩僧 俗を超えて俗を嫌はず
二百余篇 総て真を保つ

五岳上人:平野五岳(1809~1893)。豊後日田の専念寺住職をつとめ、詩書画の才を高く評価され「三絶僧」と呼ばれた。11歳で咸宜園に入門して広瀬淡窓に学んだ。専念寺所蔵の詩稿、明治期刊行の詩集、画に書きつけられた詩などから218首を選んだ『平野五岳詩選訳注』が平成22年に刊行されている。
:碁。
輸贏:勝ち負け。松方正義《五岳上人畫像贊》「着棋寄意 輸贏不競」
入神:神の域に入る。学問や技芸が非常な高さに達していること。
愛錢愛酒況佳人:五岳自身の狂歌に「わが好きは酒と肴に碁と角力 金と女はいふまでもなし」という。
保真:生まれつきの素直な本性(天真)を持ち続けて失わないこと。

五岳上人の詩を読む

上人の碁は勝ち負けなど気にはせず、画は神業の高みに達していたし
お金が好き、酒が好き、美人はもちろん好き、という飾らぬ人柄だった
この詩僧は俗を超越しながら俗を嫌いはしないという自在さで
遺された二百編余の詩はどれも人間本来の素直さを保っている

補足

ヤフオクで『平野五岳詩選訳注』を入手したので、五岳上人とその詩について詠んでみました。五岳上人についてより詳しくは『汎兮堂箚記 #7 『平野五岳詩選訳注』(河内昭圓)』をご覧ください。