探梅

冒曉發家風尚冷
尋春迷徑日將高
一枝應足償詩債
不厭郊行萬歩勞

2023年2月

押韻

高・勞:下平声四豪韻(対句のため起句は踏み落とし)

訓読

探梅

暁を冒して 家を発すれば 風 尚ほ冷ややかに
春を尋ねて 径に迷へば 日 将に高からんとす
一枝 応に足るべし 詩債を償ふに
厭はず 郊行 万歩の労

詩債:詩の負債。他人との約束などで作らなければいけないのにまだ作れていない詩のこと。

探梅

朝早くから家を出発したときは風がまだ冷たかったが
春を求めて道に迷っているうちに日が高くなろうとしている
一枝の梅さえ見つければたまった詩債を償うのに十分なはずだから
野を歩きまわる苦労も厭いはしないのだ

補足

春風吟社3月提出の題詠です。「探梅」という詩題は咲いている梅を探し求める過程に主眼があるので、咲いていることがわかっている梅の名所などに行って梅を楽しんだ、という内容では題意を失することになる点、注意が必要です。