冬日訪山寺

石磴繁霜獨踏行
穿來雲霧六根淸
燒無紅葉煖無酒
閑靜只期詩自成

2023年2月

押韻

行・淸・成:下平声八庚韻

訓読

冬日 山寺を訪ふ

石磴の繁霜 独り踏み行き
雲霧を穿ち来れば 六根 清し
焼くに紅葉無く 煖むるに酒無く
閑静 只だ期す 詩の自づから成るを

六根:目・耳・鼻・舌・身・意。感覚・念慮の六つの根本であり、煩悩や色欲を生み出すもととされる。六根の穢れを取り除き、心身を清らかにすることを「六根清浄」と言い、修験者や巡礼者の掛け声としても知られる。
燒無紅葉煖無酒:白居易《送王十八歸山寄題仙遊寺》「林間煖酒燒紅葉 石上題詩掃綠苔」
閑靜:ひっそりしずかなこと。また無欲のさま。

冬の日に山寺を訪ねる

石段にびっしりと降りた霜を独りで踏みながらのぼって行き
雲や霧の中を通って来ると六根清浄となった気がする
白居易の詩とは違って、ここには焚くべき紅葉も温めるべき酒もないので
静かに欲もなく、詩が自然と出来上がるのをただ待つばかりである

補足

正直なところ、白居易の有名な対句をもじって一首作ってみようという意図だけで出来上がった詩ですが、それなりに破綻なくまとまったと思います。