歳晩口占

兔走烏飛歳欲回
無成無得債偏堆
羨聞童幼欣欣問
眠去幾宵正月來

2022年12月

押韻

回・堆・來:上平声十灰韻

訓読

歳晩口占

兎走 烏飛 歳 回らんと欲し
成す無く 得る無く 債 偏へに堆し
羨み聞く 童幼の欣欣として問ふを
幾宵を眠り去れば 正月 来たると

口占:口ずさむ。また、口ずさむように何気なく詠んだ詩。
兔走烏飛:月日が瞬く間に過ぎ去ること。兔は月、烏は太陽。
偏:原義はかたよっていること。転じて不均等、限局的である状態を表して、ことさらに、~に限って、の意となる。その状態を不満、不快に感じる主観がこもれば、あやにくに、の意味も帯びる。
債:借金

年末に口ずさむ詩

あっという間に月日が過ぎ、年も改まろうとしているが
自分はこの一年、成し遂げたことも得たものもなく、借金ばかりが積もり積もっている
聞くにつけても羨ましいのは、幼い子供がうれしそうに
「あといくつ眠れば正月が来るの」と尋ねている無邪気な様子である

補足

春風吟社12月提出の題詠です。