中秋小集

酒盃泛月弄淸秋
按句論詩露漸稠
遮莫世人嘲舊習
鷗盟欲繼古風流

2022年9月

押韻

秋・稠・流:下平声十一尤韻

訓読

中秋小集

酒盃 月を泛べて 清秋を弄し
句を按じ 詩を論ずれば 露 漸く稠し
さもあらばあれ 世人の旧習と嘲るは
鷗盟 継がんと欲す 古風流

中秋:秋のまんなか。陰暦8月15日。2022年の場合、太陽暦では9月10日。
鷗盟:俗世間に無縁な風流な交際、あつまり。

中秋の集まり

さかずきに月を浮かべて清らかな秋を楽しみ
句をひねり詩について論じるうちに露の気配がだんだん増してくる
世間の人から古臭い習わしだと笑われてもかまいはしない
我々のこの集まりだけは昔ながらの風流を受け継いでいきたいものだ

補足

今年の中秋は9月10日でしたが、この詩は春風吟社9月提出の題詠なので、その1週間前に提出しています。転結は、詩の中では当然中秋の雅会について言っているわけですが、同時に、漢詩を詠むという営みそのものに対する思いもこめています。