登夏山【2022.07】(夏山に登る)
登夏山
壯士何須索道功
幾穿綠翠險途通
登山最好是三伏
縱浴絶巓吹汗風
2022年7月
押韻
功・通・風:上平声一東韻
訓読
夏山に登る
壮士 何ぞ須ひん 索道の功
幾たびか緑翠を穿ちて 険途 通ず
山に登るに最も好きは是れ三伏
縦に浴す 絶巓 汗を吹くの風
注
壯士:血気さかんな男。元気あふれる一人前の男。
索道:ロープウェー。
功:わざ、はたらき、しごと。
綠翠:山や樹木のみどり。
登山最好是三伏:大窪詩佛の《富士晴雪 醉月樓六味之一》に「望嶽尤宜三伏日(岳を望むに尤も宜し 三伏の日)」とあるのを登山に置き換えた。「三伏」は夏の土用を初伏・中伏・末伏の三期に分けたものの総称。夏の暑さの厳しい期間。
縦:ほしいままに。思う存分。
絶巓:山のてっぺん。「絶頂」に同じ。「巓」はいただき。
訳
夏山に登る
元気あふれる男子がどうしてロープウェーの力を借りる必要があろうか
いくたびも木々の緑をくぐりながら険しい道が続いていく
山に登るのに最もよいのは真夏である
山頂で汗を吹く風を思う存分味わうことができるのだから
補足
春風吟社7月提出の題詠です。大窪詩佛の句をアレンジして「登山にもっともよいのは真夏である」という転句をつくり、その理由を結句で説明することで構成が固まりました。
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