湊川神社大楠公御墓所

湊川神社創建一百五十年拜大楠公墓

正氣粹鍾楠子墳
精忠誠節至今芬
輸贏成敗非攸問
萬古昭然菊水紋

2022年6月

押韻

墳・芬・紋:上平声十二文韻

訓読

湊川神社創建一百五十年 大楠公の墓を拝す

正気の粋は鍾まる 楠子の墳
精忠 誠節 今に至るも芬し
輸贏 成敗は 問ふ攸に非ず
萬古 昭然たり 菊水の紋

湊川神社創建:文禄年間に太閤検地で楠公の墓所が発見されたのち、尼崎藩による供養塔建立、徳川光圀の墓碑「嗚呼忠臣楠子之墓」建立を経て、明治5年5月24日(1872年6月29日)、墓所と殉節地を含む約七千坪を境内とする湊川神社が創建された。
大楠公:楠木正成(1294?~1336)。鎌倉末期から南北朝期の武将。軍略の天才にして後醍醐天皇への忠義を貫いた忠臣として長く崇敬を集めてきた。息子の楠木正行を「小楠公」と呼ぶのに対して「大楠公」、あるいは単に「楠公」と呼ぶ。
正氣粹鍾:「正氣」は天地の間にみなぎる正大の気、万物のみなもとたるエネルギー。 藤田東湖《正氣歌》「天地正大氣 粹然鍾神州」 乃木希典《望富嶽》「多言豈誇高兼大 正氣粋鍾爲此山」
墳:墳墓。現在、楠公の墓は湊川神社境内の一角にあり、徳川光圀が建立した墓碑も現存している。
精忠誠節:まじりけのない真心からの忠節
芬:かんばしい
輸贏:勝敗。「輸」は負ける、「贏」は勝つ。
攸:ところ。「所」と同じく、動詞の前に置いて、動詞の対象・内容になるものを示すはたらきをする。「所」は仄字、「攸」は平字なので、平仄で使い分ける。
菊水紋:楠木氏の家紋。後醍醐天皇より恩賞として菊紋を下賜された楠公が、そのまま用いるのは恐れ多いと、信奉する水分神社の流水紋と合わせて作成したとされる。のち湊川神社の神紋ともなる。

湊川神社創建150年に大楠公の墓にお参りする

ここ楠公の墓には正気の精粋が集まっており
楠公の純粋なまことの忠節は今もなおかぐわしい
勤王という大義を前に勝敗や成否など問題にするところではない
神社では楠木氏の菊水紋がいつまでも輝き続けるのだ

補足

6月25日に、湊川神社創建150年に合わせて湊川神社に参拝ランしたので(→ランニング記録2022-06-25 <湊川神社参拝からの28K>)、そのときの感慨を詠みました。奇をてらったレトリックや機知は排して、正攻法で押し切りました。