曉起看雪

一夜田家沒玉塵
倚窗冷氣迫渾身
庭前已見有行迹
恐是孜孜配報人

2022年1月

押韻

塵・身・人:上平声十一眞韻

訓読

暁起 雪を看る

一夜 田家 玉塵に没し
窓に倚れば 冷気 渾身に迫る
庭前 已に見る 行迹 有るを
恐らくは是れ 孜孜たる配報の人ならん

玉塵:玉の削り屑。雪の美称。
行迹:人の歩いた足跡
孜孜:熱心につとめはげむさま。
配報:新聞を配達する

早起きして雪を見る

一夜にして我が田舎家は雪に埋もれてしまい
窓によれば冷気が全身に迫って来る
庭先にはすでに足跡が見えるが
これはおそらく新聞配達員のものだろう

補足

春風吟社2月提出の題詠です。

詠むべき題材は早朝の雪で決まっているので、あとはどういうアクセントを加えるかが作品の成否を決めることになります。真新しい雪にすでに出来ている足跡から新聞配達員の労苦を思い浮かべるという形にしてみました。毎日欠かすことなく新聞を届けてくれる配達員の方には本当に頭がさがります。

なお、個人的には、漢詩に現代中国語はあまり使いたくないのですが、新聞配達というもの自体が前近代には存在しないものなので、今回はやむを得ず「配報」という現代中国語を使用しました。