謹賦宸題窗

能塞霜風防雨滴
又迎梅氣送茶煙
最佳晴朗高秋日
懇拭玻璃似拭天

2022年1月

押韻

煙・天:下平声一先韻(対句のため起句は踏み落とし)

訓読

謹んで宸題「窓」を賦す

能く霜風を塞いで 雨滴を防ぎ
又た梅気を迎へて 茶煙を送る
最も佳し 晴朗なる高秋の日
懇ろに玻璃を拭けば天を拭くに似たり

宸題:天子の出す詩歌の題。ここでは宮中歌会始のお題。令和4年(2022年)のお題は「窓」
高秋:空が高く晴れわたる秋
懇:ねんごろに。丁寧に。
玻璃:ガラス

つつしんで御題の「窓」で詩を詠む

閉じた窓は霜の気を帯びた冷風を遮り、雨しずくからも守ってくれる
その一方、開けば、梅の香りを迎え入れ、茶を煮る煙を送り出したりもする
最もよいのは、天高く晴れ渡る秋の日
丁寧に窓ガラスを拭いていると、まるで空を磨いているような気分になるときだ

補足

今年も例年通り、歌会始の御題を漢詩で詠みました。今年は「窓」という具体的な物体なので、過去の「光」とか「語」、「望」などに比べると作りやすかったと思いますが、その分、発想の幅が狭まったかもしれません。