豆腐

矩形端正白玲瓏
外滑内柔含欲融
勿炙勿燒還勿煮
醬油數滴只添葱


2021年6月

押韻

上平声一東韻:瓏・融・葱

訓読

豆腐

矩形 端正 白 玲瓏
外 滑らかに 内 柔らかく 含めば融けんと欲す
炙る勿かれ 焼く勿かれ 還た 煮る勿かれ
醤油数滴 只だ葱を添へん

矩形:四角形
玲瓏:玉などの光り輝くさま。ツルツル、ピカピカ。
還:また

豆腐

端正な四角形に、透き通るように美しい白さ
外はなめらかで内はやわらかく口に含めばとろけそうだ
こんな素晴らしいものを炙ったり焼いたり煮たり余計なことはしないでくれ
醤油を数滴たらし、刻み葱を添えればそれだけでいいのだ

補足

冷奴が美味いので、豆腐の詠物詩を作ろうと思い、参考にしようと柏木如亭の『詩本草』を開いてみたのですが、『詩本草』には豆腐の詩はありませんでした。如亭なら豆腐も詠んでいるはずと思っていたのに当てがはずれてしまい困りましたが、あきらめるわけにもいかないので、素直に冷奴をたたえる内容にまとめてみました。