端午偶成

鯉旗潑溂一天靑
欺劔菖蒲正氣馨
尚武精華兒解否
傳家甲冑映金屏

2021年5月

押韻

下平声九青韻:靑・馨・屏

訓読

端午偶成

鯉旗 潑溂として 一天 青く
剣を欺く菖蒲 正気 馨し
尚武の精華 児も解するや否や
伝家の甲冑 金屏に映ず

鯉旗:鯉のぼり
潑溂:はつらつ。魚が元気に飛び跳ねるさま。
:あざむく、だます、という意味から転じて、「~と見間違えるほど似ている」「まるで~のように見える」という意味に用いる
正氣:天地の間にみなぎる正大の気。万物を正しくあらしめるエネルギー。
精華:物事のなかで最も純粋で優れている部分。

端午の日にたまたま出来た詩

鯉のぼりが元気よく跳ねて空は青く晴れ渡り
剣と見まがう菖蒲からは正大の気が香ってくる
尚武の気風の精華というべきものを子供も理解しているのだろうか
その眼前には先祖代々大切に伝えてきた鎧兜が金屏風に照り映えている

補足

春風吟社5月提出の題詠です。端午に限らず、節句の詩となると道具立てはほぼ決まっているので、あとはそれをどう組み合わせて、読者にその節句の雰囲気を気持ちよく味わってもらうか、ということになります。